聞こえている 


その声しか聞こえない
注!R18






ぐちゃ、と濡れた淫猥な音が妙に耳につく。抉るように腰を動かすとマジェントの腰がわかりやすく跳ね、締め付けが強くなった。ずるずると上へ逃げる腰を捕まえるとマジェントは駄々っ子の様に首を振る。その拍子に汗が首筋を伝ってシーツに落ちるのが見えた。なんとなくその駄々をこねるような素振りがおもしろく、もっと見たいと思って、だらだらと流れる先走りを塗り込めるように性器を扱いてやれば、彼は小さく引き攣ったような悲鳴を上げ、そしてあわてて口を噤んだ。最近マジェントは切羽詰まってくると、急に声を殺す。さっきまで散々下品な言葉を吐いて誘っていたお喋りな唇を強く噛んでじっと耐えるような顔をするのだ。何が嫌なのかはわからない。以前も強く噛みすぎて唇を血で赤く染めていたのを思い出し、律動を緩めて唇に指を這わせた。
「ほら、唇は噛むな。」
「ん、ぅ、嫌だ…ぁ、う、」
「口を開けろ。」
泣いた後のように目の縁を赤く染めて、こちらを見ながらマジェントは言われた通りにする。開いた口に指を突っ込み噛ませる。閉じることができなくなった口から唾液と吐息と嬌声が駄々漏れになる。
「噛むなら指を噛め。」
「いやら、ぁ…ひ、あ!」
尚も駄々をこねるのを無視して突き入れた。突然強まった刺激にマジェントの腰が浮く。反応の良いところを重点的に抉るとマジェントはさらに泣きそうな表情を浮かべた。閉じられない口から流れる唾液と、赤い目から流れる涙でその顔はぐちゃぐちゃだ。二人の間のマジェントの性器も突き入れるたびふるふると震え、今にも熱が弾けそうだった。
「あっ、あ、は…もぉ、」
「イくならイけ。前も触って欲しいか?」
聞いてやればぎゅっと目を瞑りマジェントはこくこくと首を縦に振った。口は閉じるなよ、と念を押して口から指を引き抜きその手で前を擦る。言いつけを守りマジェントは素直に声を上げた。動きに合わせてひっきりなしに上がる声に満足感が生まれる。
「はあっ、…んっ、ウェカピポ、もう、無理…っ」
「…っ、先に出していいぞ、」
律動を早めて強めに扱いてやるとマジェントは簡単に達した。肉の薄い腹にぱたぱたと白濁が散る。少し遅れてウェカピポも精を吐き出した。その刺激にマジェントの体がびくりと強張る。荒い息を整えてゆっくり抜くと中に出した精液がどろ、と溢れる。どうせマジェントを風呂に入れて後処理をやるのはウェカピポなので罪悪感はなかった。マジェントの方を見やるとまだ少し頬を赤くしたままにやにやと笑っている。吊り上げた唇は切れてはいなかった。
「何だ、にやにやと気持ち悪い。」
「ウェカピポさんが口閉じるなって、しかも指噛めって優しい、くくく…」
「笑うな、気色悪い。意地を張って声を上げないお前が悪い。」
「だってよォ、忘れてるかもしんねぇけどここ宿だぜ?しかもあんたがケチったおかげで格安の壁の薄ーい宿。」
声出したら怒ると思うだろォ?と続く言葉はもう半分聞こえていなかった。すっかり忘れていた。すぐ発つとはいえ明日の朝どんな顔をしてこの部屋を出よう。
「えっ!あんたマジで忘れてた訳!?」
信じらんねぇー!と爆笑しだすマジェント。シーツは精液まみれ、近隣の部屋に響いたであろう嬌声。もうなにも言い訳出来そうに無かった。隣ではまだ裸でマジェントが笑っている。



やってるだけのあほな文でした。
うっかりウェカピポさん。