うわさ 

*ジョルノがボスになってから少し後。 ちょっとだけ小説版(恥パー)設定。 二人は出来てません。でもジョルミスです…。





うわさ






ジョルノがボスに就いてしばらくした頃、トリッシュが訪ねてきた。連絡は取っていたが彼女に会うのはディアボロを倒したあの日以来だ。単純にやらねばならないことが多くて会う暇がなかったのでずいぶん久しぶりの再会になってしまった。
久々に会った少女は髪が伸びてまた少し大人びたようだった。チャオ、とかわいらしく挨拶をする彼女をジョルノは笑顔で自室へ迎え入れた。
「お久しぶりです。」
「最近どう?しばらくとても忙しかったようだけど…」
「随分忙しいのも落ち着いてきました。あ、紅茶飲みます?」
「あら、ありがとう。」
「ふふふ…実はプリンもあるんです。ミスタが買ってきてくれて。この店のプリンはとってもおいしいんですよ。あ、ポルナレフには内緒ですよ?僕とミスタとトリッシュの分に足すと4つだからって言って彼の分買ってこなかったんで。」
好物を前に嬉しさを隠しきれない顔でジョルノが言う。その表情は15歳相応で、とてもマフィアのボスになんて見えなかった。スプーンとプリンの乗った皿を受け取りながらトリッシュはそういうことを考えた。
テーブルを挟んで向かい合って近況を話し合う。久しぶりなのもあり一度話し始めると、二人とも止まらなくなってしまった。
この間ステージに立って歌っただとか、フーゴを見つけて連れ戻しただとか、たまにみんなの墓参りに行ってるだとか互いに話すことはたくさんあった。気付けばすっかり紅茶も冷めている。
「ところでね、ジョルノ。」
急にトリッシュが声を潜めて言った。周りを気にしているようで、何か特別な話なのかもしれないとジョルノは少し姿勢を正した。
「なんですか?」
「あなた…ミスタと付き合ってるって本当?」
手に持っていたプリンを落とさなかったのを褒めてもらいたい。そのあんまりな内容にジョルノの端正に整った顔は酷く歪んだ。
「な、なんですか、その、情、報 …」
「さっきここくる時にパッショーネの人たちが話してるの聞いたんだけど、なんかミスタはボスの愛人じゃないかって噂が流れてるのよ。だから実質ナンバー2なんてポジションなんだっていう話が…。あたしもあなたたちから女の子の話なんて何も聞いたこと無かったし、二人とも見てて女っ気無さ過ぎるからおかしいなあとは思ってたのよねー。あなたたち結構べったりで仲良しだし。」
トリッシュは笑いながら恐ろしい内容の言葉を連ねた。ジョルノの顔は怒りとも嫌悪ともつかぬ表情へますます歪んでゆく。元が綺麗なだけに恐ろしい。しかしトリッシュは全く気にしていない様子である。
「で、どうなの?」
悪魔のような笑顔で聞いてくるトリッシュにジョルノは鬼の形相で言葉を返す。プリンはもう机の上に避難済みだ。
「違うに決まってるでしょう!僕はミスタが信頼に足る人物だから最も近い位置にいてもらってるだけです!女っ気だってボスに就任して忙しかったからなかっただけで…!!」
「じゃあミスタは愛人じゃないの?」
とトリッシュが返すと同時にガチャリとドアを開けてミスタが入ってきた。つくづく間の悪い男だ。
「よお!トリッシュが来たって聞いたから来た!……んだけどお前らなんの話してるの?俺が誰の愛人だって?」
「ああ、あなたはなんてタイミングで…。」
「あなたおもしろいわね。」
頭を抱えたジョルノを見ながらプリンを口に入れつつ、トリッシュが楽しそうに笑う。怪訝な顔をしたミスタを座らせトリッシュが事情を話せばジョルノと同じ表情をした。
「俺は女の子しか興味ないっての…。」
「『は』ってなんですか!僕も女の子しか興味ありませんよ!増してやミスタになんて…!!」
寒気がする、と腕をさするジョルノをミスタが小突いた。
「俺になんてって言いぐさはねえだろ!俺に全く魅力が無いみたいじゃねえか。」
「そんなことは言ってません!とても有能だしあなたがいてくれて僕はとても助かってるんですけど…。ただあなたをどうこうするなんて…うう、吐き気がしてきた…。」
「吐き気はやめろ。しかも俺がどうこうされる前提かよ。うわあ…。」
話す内に二人の顔色はどんどん悪くなっていく。トリッシュはそのやりとりを終始面白そうに眺めていた。自分のプリンはとっくに食べ終え、吐き気がすると言ったジョルノのプリンも奪った。
「ま、あたしは全く信じてないけどね。」
スプーンを軽く揺らしながらトリッシュは楽しそうに言った。
「じゃあ口に出さないでください!」
「知らないと困るかもしれないって思ったから一応言っとこうと思って。」
うふふ、と可愛らしく笑うトリッシュにミスタもジョルノも怒る気にもなれずぐったりと脱力した。
突然姿を現した若いボスに反発する者もいるとは思っていたがまさかこんな形でダメージを受けることになるとは。
「ほんとにしちゃえば嫌がらせじゃなくなるんじゃない?」
「「無理(です)!!!」」
声を揃えて拒否する二人。トリッシュは面白そうだったのに残念、とさほど残念そうでない表情でつぶやいた。 マフィアのボスになろうが彼女には勝てない、とジョルノはぐったりとうなだれながら思った。
とりあえず彼がしばらく最優先する仕事はミスタに彼女を作ることと、噂を流した人物の粛清になりそうである。



ニアホモ?みたいなのが好きなので。
原作のように無駄にべたべたしてるので勘違いされてるけど二人ともそんなことありえない!と思ってるような関係が萌えます。どノンケ萌え。
この話でも「違う!」って否定しつつソファで密着とかしてます。
あと、二人ともトリッシュにちょっと振り回され気味だとかわいいと思います。
恥知らずのパープルヘイズ設定を採用するか少し悩んだ文です。