口が滑った 



玄関にて
(リゾプロ)






リゾットの家の玄関は広い。 大きな靴箱を置いてたくさん靴が収納出来そうだ。 残念なことにこの家の持ち主はその日のファッションに合わせて靴を履き替えるような人間ではないのでせっかくの広さも無駄になっているのだが。
玄関を見てどうでもいいことを考えながら靴を履く。二人でだらだらと酒を飲んでいたらすっかり遅くなってしまった。
「じゃあまた明日な。」
ほろ酔いで気分良く立ち上がった。送り出しにきたリゾットは少し目元を赤くしてこちらを見ている。 一言ぐらい返せっての。さよならのキスをしてやろうと思っていたが腹が立ったのでやめた。 ドアノブに手をかけると後ろからごつい手がにゅっと伸びてきた。そのまま強い力で抱きすくめられる。 驚いて反応ができなかったので、俺はなすがままにその腕の中に収まった。
「やっぱりもう少し飲もう」
酒に焼けてかすれた声で囁かれる。リゾットが今どんな顔をして言ったのかとても興味深かったが、後ろから抱きしめられているため表情は窺えなかった。残念だ。
「珍しいな。お前がそんなこと言うなんて。いっつも仕事のために早く帰れってうるせーのに。」
「、たまには良いだろう」
「ハハ、かわいいなあ、お前。」
笑うとリゾットの腕に力がこもった。照れている。さっきより赤く染まっているであろう後ろの顔を早く見たいと思った。 リゾットが腕を解いたらすぐに顔を覗き込んでキスをしてやろう。靴を脱ぐのは最後だ。
甘えたマンモーニになったリゾット。